ドラフツ100
目指せ!頭脳五輪
対局例
PlayOKという対局サイト(http://www.playok.com/ja/draughts10x10/)から、レート700程度(初級者)の方の対局を見てみましょう。こんな感じで対局が進むのだというのを説明します。
■序盤(オープニング)
序盤はコマを一歩一歩進めるのが普通です。もちろん序盤からコマの交換をしていくこともできますが、コマを交換するとどうしてもコマが前にジャンプして行きます。そうすると、コマが孤立しがちとなり、狙われやすくなります。ショットを決められないように、自分の陣地に「穴」を作らないコマ組みをするのが序盤です。序盤のコマ組みは、中盤の戦いの場所・戦い方と関連していますが、入門レベルではあまり気にする必要はありません。
■中盤(コマがぶつかり、互いに有利な場所を目指す)
コマ組みがある程度終わると、コマがぶつかり、交換・ジャンプが始まります。コマの交換の目的は①コマ数を減らしコマが動けるスペースを作ること、②交換により、制空権を取るための重要なマスを占拠する、あるいは制空権を持つ相手のコマをとりのぞくなどがありますが、入門レベルではあまり難しいことを考える必要はありません。
大切なのは、「コマ交換で損をしないこと」「コマ交換が終了後、自分のコマ組みに穴がたくさんできないこと」「交換した後に、コマがせり出し過ぎて、孤立しないこと」です。
コマ交換で損をしないこと:これは明らかですよね。
コマ交換が終了後、自分のコマ組みに穴がたくさんできないこと:穴があると、ショットが決まりやすくなります。
交換した後に、コマがせり出しすぎて孤立しないこと:右図の終了時点で白のコマがせり出しすぎ気味です。黒はこのコマを攻めて、あわよくば取ってしまう、それを狙いに、白のコマにアタリをかけました。
■中盤(せり出したコマをめぐる攻防)
せり出したコマのことを「ポスト」といいます。黒は白のポストをタダ取りしようとし、白はこのポストをタダ取りされないように守ります。ドラフツの中盤の攻防の一つは、このポストをめぐる攻防です。ポストが孤立して弱くなれば不利ですが、ポストがしっかりと守られれば、「せり出したコマが取られない」=「制空権を取っている」ことになり、有利になります。
ただし、これも入門レベルを卒業してから考えればいいこと。入門レベルでは、「ポストをタダ取りする/されない」ことを考えてください。不安ならば、ポストは作らないほうがいいでしょう。
さて、この最後の局面で白は大きなミスをしてしまいました。実際の対局では現れなかった手筋を次に見てみましょう。
■中盤(ショットを決める/ショットさせない)
ショットはドラフツの華。大技が決まると即死です。居合い斬りでスパっと切られる感じですね。
上の図でも黒から、こんなショットがありました。このショットの結果、黒は2コマ得をしています。黒は2コマ捨てて、4コマ取っていますので。
ドラフツで2コマの差は決定的です。こんなショットが決まると快感ですよねー。逆にいうと、ショットを決めさせないことがとても大切です。
■中盤(ミスでコマをただ取られ)
ここまで均衡を保ってきましたが、白はミスをしてしまい、コマをただ取られしてしまいました。コマを1個損してしまい、それだけ不利になってしまいました。またその後のコマの配置も良くありません。前にせり出している白コマ2つは孤立しています。一方黒が孤立しているコマは1個だけです。これでは白が不利になってしましました。
■中盤(形が悪く、コマ損が広がる)
白の形が悪く、黒にさらにショットを決められてしまいました。コマ組みが乱れたときに相手に適切に対応されると、コマ組みを整え直す前に攻めが決まってしまうことがあります。ここでもそのパターンです。
このショットでコマ数の差が3個にまで広がりました。
■中盤(油断は禁物)
とはいえ、油断は禁物です。黒は油断をして、白にショットを決められ、差をつめられました。
コマ得をしたときの簡明な勝ち方は、1vs1の交換をどんどんやっていくことです。
黒13個vs白10個 → 黒12個vs白9個 →→ 黒4個vs白1個 と交換が進むにつれ、戦力比が大きくなっていくからです。
ところで、右図の最後で、黒はコマ損した1個を取り返す、ショット返しがありました。わかるでしょうか?
■中盤(形勢逆転を目指す)
とお返しのショットは、右図です。これで、コマ数は黒10個vs白7個。黒は勝利に近づいたはずでした。初級者同士の対局ではこういったショットが何度も可能です。上級になると、ショット一発決まるとそれで決まってしまいますが。
ここが初級レベルの楽しいところ。 多少の不利は気にせず、ショットを狙っていきましょう。
■中盤から終盤へ
と白は頑張ってキングを作りました。捨てコマで守りの黒を動かし、キングを作ったところは一矢報いたところでした。が、せっかく作ったキングを油断して取り返されてしまいました。
■終盤
終盤、勝ち切ることは意外と難しいです。別記事に書きますが、白キング1個vs黒キング3個の場合、白が正しく指せば多くの場合引き分けになります。中盤のコマ2個差は大きくほぼ勝ちになりますが、油断して2個差のままキングを作らせると引き分けになってしまします。右でも黒は多少手こずりましたが、最後にキングを捕獲して勝ちになりました。
■ショット・ショット・ショット
以上がドラフツの一局の流れです。それぞれ違う展開もあります。序盤・中盤・終盤とそれぞれコツがありますが、やはりドラフツでの読みの中心となるのは、ショットです。上級者同士の戦いでは、相手の狙いのショットを実現させないように手の殺し合いを行います。剣を交える前に隙を作らない剣の試合のようにです。ショットに始まり、ショットに終わる。ドラフツの対局でショットで勝つことの快感に目覚めると、やめられなくなりますよ。